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インタビュー

Special Interview

神村えりか
『お前を世界チャンピオンにしてやる』って言われたんです』

無敗の17歳、神村江里加(かみむら・えりか)。
田嶋はるの持つミニフライ級ベルトに挑戦する神村の、
キックボクサーとして生きる決意と、大一番に挑む心境に迫った。(インタビュー・佐々木亜希)

--まずは、挑戦者トーナメント決勝のLittle tiger戦、勝利おめでとうございます! 熱い内容で、非常に見応えある試合でした。
えりか:「ありがとうございます! 1Rめが今までにないくらい固くなってしまったんで、動きが悪くなってしまったかなと思うところがあるんですけど……。2,3Rは疲れていた面もあるんですが、セコンドの声はよく聞いて動けたかなと思います。」

--次は念願の田嶋はる選手との試合になりますが、いまはどんなお気持ちですか?
えりか:「そうですね……。やっと辿り着いたという思いと、覚悟というか、タイトルマッチに出させてもらう以上は下手な試合は出来ないという気持ちの両方ですね。でも、会長も周りの皆さんも、今までにないくらい気持ちを入れて練習に向き合ってくださっているんで、いい試合にしたいなと思っています。」

--Little tiger戦で、リングに上がる様を見ていたら、神村さんはちょっと大人っぽくなっていたように見えたんですけど。
えりか:「そんなこともないですけど(笑)。ただやっぱり、リングに上がるときには無意識に何か覚悟を決めていると思うんで、少しは変わっていてほしいなとは思いますけど、自分ではそんなに変わらないかなと(笑)。」

--あらためて、神村さんのことをお伺いしたいんですけど、神村さんのお誕生日は……
えりか:「平成4年の12月30日です」

--平成4年! ということは今年で……
えりか:「17歳になります。13とか、14くらいからJ-GIRLSにあがらせていただいているんで、古くから知ってくださっている方は、こいつもちょっとは大人になったんだなと感じて頂ければ嬉しいです」

--小さい頃はどんな子供でした?
えりか:「そうですねー。やっぱなんか、おままごとって言うよりは、ヒーローものごっこを選ぶような感じですね」

--戦隊ものごっこなら、女の子だったら、ピンクをやるところですけど……
えりか:「赤を狙っていたような(笑)。そんな感じでしたね」

--キックをおやりになる前に、空手をやっていらしたんですよね。
えりか:「そうですね。4年くらいやっていました。はじめたのは小学校、2年とか3年とかだったと思いますね。小学校の頃って、けっこうまわりが空手やってたりしたんですよ。それで、いいなって。強くなりたいなぁって。父親も格闘技とか好きだったんで、一緒に入ってやっていました」

--お母さんは反対しなかったんですか?
えりか:「なんか『いいんじゃない?』って。やりたいことがあるなら、いいんじゃないと。反対とかはされなかったですね」

--女の子らしくないからって反対されたりはしなかったんですね。
えりか:「全然なかったですね。女の子らしくしなさいって言うのが、間違っているような子だったというか、おまえ本当は男なんじゃないのっていうような子だったんで、自分が(笑)。だから言っても無駄なんだろうなっていうのは、あったんじゃないですか」

--ご兄弟はいるんですか?
えりか:「いないんです。ひとりっ子です」

--その後、空手は中学生で一度やめたと以前、おっしゃってましたよね。
えりか:「はい。引っ越して、またイチから始めなきゃいけないって思ったとき、なんか自分の中でやる気がなく成っちゃったのか、ぱっとやめてしまって。部活もやっていたんですけど、そこまで力が入らなかったというか、そんなに真剣になれなかったみたいな感じで、続かなかったですね」


キックボクシング、そして
自分を成長させてくれた先輩たちとの出会い

--その後キックボクシングをはじめられたそうですけど、13、14歳の時からアマチュアの試合に上がっていたのは、前に所属していた山木ジム会長の薦めがあったんですか?
えりか:「そうですね。山木会長が、アマチュアの試合があるから出てみないかと。じゃあ、出ますと。基本的に練習が好きだったので、あまり試合に出るとか考えてなかったんですよ。でもまぁ、あるなら出ます、というか」

--練習はやっていて楽しかったんですか。
えりか:「そうですね。練習もそうですけど、先輩とかが、すごい優しくしてくれたんですよ。年とかも離れてて、普通ならかかわれないような人たちなんですけど、すごく良くしてくれて、優しく接してくれたのが大きかったですね」

--その後、本格的にやっていくと決めたんですよね。
えりか:「そうですね。一番最初にジムに行って、一週間目くらいで会長に『おまえを世界チャンピオンにしてやるから、毎日ジムに来い』って言われたんですよ」

--山木会長にですか?
えりか:「はい。それで、すごいなこの人は、って思って。そんなに、アマチュアとかも分からなくて、自分がこのリングに上がるのはもっと先のことなんだろうなって思ってたんですけど、そこまで自分に期待を持ってくれてる人がいるんなら、真剣に向き合いたいなとは思いましたね」

--確かに、その言葉を言われたらズシッと響きますよね。魔法をかけられてしまうような気持ちになります。
えりか:「今考えればそうですね。でも、その言葉がなかったら、ここまでやっていなかったかもしれないと思いますね。そこまで試合に出たいという願望もなく、練習が好きで、先輩たちが好きで、部活って感じだったんで、正直」

--現在も活躍中の、風神ライカさんも同じジムですよね。
えりか:「ライカさんとは家が近かったんですよ。なので朝いっしょに朝練させていただいたり、たまに泊まりにいったりとかもしていて。多分、そういうのが一番大きいと思います。普通なら、ないじゃないですか。10個以上年が離れているのに真面目に向き合ってくれる大人とか、いないと思うんですけど、みんな向き合ってくれて。それで、頑張ろうって思いましたね」

--その後、進路を決めるっていうときに、周囲の方とはどう話をしたんですか?
えりか:「周りからは、とりあえず学校に行けばと。でも、自分の中で学校がある意味を受け入れられなかったというか、なんか、自分のためになるのかな…、みたいな。ここにいて自分は本当にいいのかなって思ったりしてたんで、そうなってくると、本当はやらなきゃいけない勉強とかも、無駄なんじゃないかなとか思えてきて。とりあえずは、学校いかないで好きなことをやりたいと」

--高校に進学せずにプロになる道を選んだんですね。
えりか:「はい。でも、社会に出たときに、学校に行ってないみたいな、学歴の大事さみたいなのも分かってきて、自分はこれじゃキックボクサーとしては強くなれるかもしれないけど、人間としてはダメになるなと思いましたね。なので今は一応通信制の学校にも通っています。練習も出来るので。ま、いまの選択が一番いいのかなと」

--現実的に、バイトを選ぶときなんかは、学歴や年齢は関わってきたりしますよね。
えりか:「やっぱり高卒の資格は持ってないとダメな職業が多いんで……、キックの現役でやっていけるのは10年あるかないかくらいじゃないですか。だからそのためだけに自分のすべてを投げ出さなくても、ということが考えられるようになりましたね」

--むしろ、行かないことを決めて一回、やりたいことに向かって飛び出したからこそ、その選択ができるようになったのかもしれないですね。
えりか:「でも、できれば踏み外さないでいきたかったですけどね(笑)。でも、自分がこうありたいというふうに思っちゃうと、なかなか譲れなくて。私が決めたんだからいいでしょ!みたいになっちゃう人なんで。頑固だったんでしょうね」

--ご両親はどんな反応をされてたんですか?
えりか:「高校に行かないって最初に言ったときは、反対してましたね。でも、言ってもきかないっていうのは分かってたみたいで『じゃあ、やれば』みたいな。だから逆に、今度学校に行きたいっていったときも、あれっ?みたいな感じでしたね。『おまえ、これでやるって言ったんでしょ、自分で?』みたいな感じで、ちょっといじめられて(笑)。でも、優柔不断だったりとか、すぐ曲がったり、うねったりしてしまう性格なんで……」


17歳のタイトルマッチ
そして、念願の田嶋はる戦

--デビューされて1年と少しですけど、今までを振り返ってみて……まだ振り返るには若いですけど(笑)どんな気持ちですか?
えりか:「そうですね……1年と少ししかやっていないんですけど、すごく“濃かった"なぁって思ってますね。あっとういう間だったんですけど、すごく濃くて、厳しさにしても、こういう厳しさの中で生きていくんだなぁっていうのを思い知らされた1年でもあり、支えてくれる人との出会いの時でもあり、あったかさとかもすごく分かる1年だったと思います。」

--厳しさを感じたのは、どういうところですか?
えりか:「やっぱり練習だけじゃ、キックボクサーって練習だけじゃなくて、人との関わりとかもいろいろあって、大人と一緒にやっていくのは、やっぱ、みんな同じに見てくれるということは、妥協とかもしてくれないわけじゃないですか。17だからとか16だからとか、そういうのは無いわけで、そういう厳しさであったりとか、我慢しなきゃいけないところであったりとか、無理やりでも自分で理解しなきゃいけないところだったり、会長の言葉とかに感じる厳しさですよね。まだまだ他の選手に比べれば浅いと思うんですけど、いままでに無い経験がプロになって出来たんで、でも、みんな自分にとって必要な経験だったと思うんで、いい1年だったと思います」

--練習面でも同じように厳しいですか?
えりか:「あ、練習での妥協っていうのは、誰もしてくれなかったです。してほしいくらいだったんですけど(笑)、でも、男子に負けたくないっていうのはあるんですよね。試合も、男子は3分で女子は2分ですけど、自分も仲間なのに、みんなより練習量が少ないっていうのは悔しいし、もどかしいみたいな感じもありますし。みんな一人の選手として見てくれているので、甘えもないし妥協も許されないんですけど、練習では男も女もなくひとりの選手として見てくれているので、それは本当に良かったと思います」

--普通に男子選手とも練習されているんですよね。
えりか:「普通に男子の選手とやって、たまに顔が腫れたりとか(笑)。でも勉強になるし、まだまだだと思い知らされるから、もっと頑張ろうと思えるんで。あまり抵抗とかもなく、みんなやってくれますし」

--もともとの神村さんの素質もあるんでしょうけど、手抜きしないで指導してもらえる環境というのも、良かったんでしょうね。
えりか:「そうですね。山木ジムにいたときもそうですけど、やっぱ普通のジムと違うと思いますね。もっと和気あいあいとやるところを、世界だったり、強豪との対戦だったりっていう、スケールが違うものを目指す中でやらせてもらえていたんで、それがあったから今があるんだなって本当に思いますね。ラビット関会長のところでも、そういう厳しさの他に、キックボクサーとしてだけじゃなく、人間としてどうあるべきかっていうのを教えてもらえたんで、本当に周りの人たちに助けられているなぁって思います」

--神村さんは「得意技は何ですか」と聞かれたら、どう答えます?
えりか:「私ですか? キックと言いたいですね(笑)。ミドルキックが得意だと言いたいです。いつも試合だとパンチでまとめてしまうんですけど、ミドルキックが好きなので」

--確かに、パンチとおっしゃるかなと思っていました。
えりか:「パンチよりもキックのほうが、やっていて好きですね。いいの入ったな、って分かりますね。キックボクサーなので、パンチよりはキックで倒せる選手でありたいです」

--つぎはいよいよベルトのかかる試合になりますけど、その先の目標などは考えていますか?
えりか:「先……は、正直、いまのところ考えてないです。今はとりあえず、目の前にあるものを掴めればと思いますね。先のことを考えるのも必要なんですけど、それで目の前のものを逃してしまっては、意味がなくなってしまうんで。とりあえず今は田嶋選手とベルトっていうのを目標に、その後はその先考えることであって。今は目の前のものしか、考えられないですね」

--ちょっと休みたいな、とか、考えたりしないですか?
えりか:「休むなんて考えられないですね。田嶋さんはもう、ずっと追いかけてきた選手なんですよ。やらせてもらいたいと思って、この人を倒せればすごい自分に自信になるだろうと思ってきた選手なんで、休むなんて怖くて、そんな。遊んだりとか出来ないですね」

--神村さんがそこまで対戦を熱望する、田嶋さんの魅力ってどういうところですか?
えりか:「エリートっていうか、自分に持っていないものを持っているというのが一番の魅力だと思いますね。なんか、みんな育った環境も違うんですけど、特に違うなぁ、みたいな。大学も出て、学校の先生やりながらキックボクシングやって、キックの世界でもちゃんと結果を残している選手じゃないですか。やっぱり精神力だったり、努力するっていうことが並はずれている選手なんだなぁって思いますね。本当にすごい、選手として尊敬もするし、でもやっぱり、越したいなぁって思います。尊敬する選手だから、越したいです、自分が」

--どんなふうに勝ちたいですか?
えりか:「やっぱり、差をつけたいですね。勝つってことは、その選手より努力したってことになると思っているんですよ。だから、田嶋さんよりも努力したんだぞっていうのを、見せてやりたいです」 --だとしたら、微妙な判定とかじゃなくて、なんらかの差をつけたいですよね。
えりか:「そうですね。“差"が欲しいです。田嶋さんは細かい技術が本当にうまくて無駄がないし、すごい選手だなってことは誰から見ても分かると思うんですけど。でも田嶋さんに持っていないものを自分が持っていれば、それで戦えるかなと思うんで」

--田嶋さんより勝っているところというと……例えば、突進力ですか?
えりか:「突進だけじゃ今回勝てないと思うんですよ。だから、試合を見て頂ければ(笑)分かると思います」 --自信のレベルでいうとどのくらいですか?
えりか:「小心者なんで、まだやっぱり不安のほうが大きいですね。でも、何回も言っちゃうんですけど、(ターゲットの)伊藤会長や、教えてくださる皆さんが、すごい向き合ってくれてるのが分かるし、勝たせてやりたいって思っててくださってるのが本当に分かるんで。やっぱり結果でしか返せないじゃないですか。どんなにいい試合しても、負ければ負けだし。結果で残すっていうのが、一番大事なんだって思っているんで、ジムにベルトを持って帰りたいですね」

--確かに、周囲から期待されているということは、神村さんだけじゃなく、見ている側にも伝わってきますしね。
えりか:「だからホント、プレッシャーとかじゃないんですよ。本当に、純粋に勝たせてやりたいと思われているんだなというのが分かるんで。家族に接するように接してくれるような会長なので、自分も、そういう気持ちで向き合いたいし、そういう気持ちにはしっかり答えたいと思うんですよね。会長だけじゃなくて、周囲の人たちも妹とか娘みたいに接してくれるんで、その人たちにごめんなさいとは言いたくないんですよね。ありがとうございましたって言って、結果を残したいんです」

--実は、次の大会はすでに前売り券が売り切れていて、立ち見券しかない状況なんですよね。
えりか:「そうなんですよね(笑)。それだけ、他の人たちもみんなタイトルマッチとかワンデートーナメントとかあるんで、全部いい試合になるだろうなと思います」

--その中でもメイン中のメインじゃないですか。
えりか:「それはー、田嶋選手が看板だからですよー(笑)。自分なんて、こんなガキなんで(笑)。タテつくのか、みたいな感じなんじゃないですかね。まぁ、メインということはそんなに考えてはいないですけど、タイトルマッチを田嶋選手とできる嬉しさであったりとか、そういうもののほうが大きくて、メインとかってことはそんなに考えてはいないですね、はい」

--では最後に、ファンの皆さんにメッセージをお願いします。
えりか:「ファンがいるのか分かりませんが(笑)。毎回、応援してくださってありがとうございます。本当に、ひとりひとりが、やっぱ、みんな頑張ってくださいって言ってくれたりとか、応援していますって言ってくれる、その越えが本当に力になっていて、そのために本当に頑張ろうって思えるんで、これからも応援していただければ嬉しいです」

--それから、対戦相手の田嶋さんにもひとことお願いします。
えりか:「はい。……やっと、追いつけたわけなんですけど、26日は同じリングで、今までやってきた積み重ねをしっかり出して、ベルトは私が、いただきます。」

--ありがとうございました!!

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